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腫瘍について

子宮肉腫について

1. 子宮肉腫とは

悪性腫瘍には臓器の上皮から発生する癌(これが多い)と上皮の下の筋肉や血管、神経などから発生する肉腫があります。子宮から発生する肉腫には子宮平滑筋肉腫、子宮内膜間質肉腫、癌肉腫などがあります。
急に大きくなる子宮腫瘍や閉経後に増大する腫瘍の場合は肉腫の可能性があります。肉腫の種類によって治療方法が異なります。

2. 手術療法

いずれの肉腫でも手術療法が基本となります。平滑筋肉腫は子宮摘出(+両側付属器摘出)、内膜間質肉腫は子宮摘出+両側付属器摘出に加えて骨盤リンパ節郭清が考慮されます。癌肉腫は子宮内膜癌の成分と肉腫の成分が混在するもので子宮内膜癌の悪性度が高いものに性格が似ているとされています。そのため術式は子宮体癌に準じて、子宮摘出+両側付属器摘出+骨盤リンパ節郭清+傍大動脈リンパ節郭清が行われます。すでに腹腔内へ広がっている場合では腫瘍組織の摘出を目的としリンパ節郭清は行わない場合が多いです。

3. 化学療法

1) 術後の治療について

術後の化学療法が必要かどうかは症例によって異なります。手術で取りきれなかった腫瘍があった場合は、化学療法が追加されます。

2) 進行・再発症例の治療について

診断時に手術では切除できないところまで進行している症例や、再発した症例に対しては化学療法が行われる場合が多いです。

3) 施行される化学療法

肉腫に効果がある薬剤は少なく、効果も限定的です。使われる薬剤としてはアドリアマイシンが効果、有害事象を考慮し、第一選択となっています。その他、ゲムシタビン+ドセタキセルの併用療法や、新たな薬剤としてパゾパニブ(ヴォトリエント)、エリブリン(ハラヴェン)、トラベクテジン(ヨンデリス)などが使われます。これらの薬剤は効果に関しては同程度であるため、有害事象や投与方法が異なるため患者さんの希望を聞きながら薬剤を選択することになります。

薬剤 投与法 特別な有害事象
アドリアマイシン 注射 心筋障害
ドセタキセル 注射 骨髄抑制、神経障害
ゲムシタビン 注射 間質性肺炎
パゾパニブ 内服 高血圧、血小板減少
エリブリン 注射  
トラベクテジン 中心静脈注射 肝機能障害、横紋筋融解症

4) ホルモン療法

子宮内膜間質肉腫のうち低悪性度内膜間質肉腫はホルモン療法が有効です。高容量黄体ホルモン(メドロキシプロゲステロンアセテート:MPA)による治療が行われています。

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