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関連病院先輩医師からのメッセージ

2020年更新

高知赤十字病院

自由は土佐の山間より

高知赤十字病院 産婦人科 高橋洋平

私は高知赤十字病院 産婦人科医師の高橋と申します。徳島大学病院産科婦人科医局より高知赤十字病院に赴任しており、現在当院での累計在職年数が4年となりました。高知赤十字病院での研修の魅力について、私目線ですがお話し致します。

私が高知県、当病院に感じることは自由の精神、開拓の精神があるということです。ここ高知(土佐)は皆さんもご存知のように、遡ること江戸幕末に明治維新を推進し、新しい時代を切り拓く人材を多数輩出した”薩長土肥”の一翼を担う土地です。また、明治末から大正期の民主主義、自由主義を求める自由民権運動の時代には運動の中心となりました。自由主義の精神が中央となる都市部ではなく、高知(土佐)という地方から発現することが”自由は土佐の山間から”と人々に謳われました。この土地は既存の体制が機能しなくなった危機の時代、大きな変革が起きる時代に新しいうねりを生み出す自由の気風、開拓者の精神がある土地だと感じております。

そんな土地柄か、在籍している高知赤十字病院でも自由、開拓の気風を感じます。婦人科では腹腔鏡が産婦人科医療に導入され出した時代にいち早く単孔式腹腔鏡を導入し多孔式の腹腔鏡共に多数の症例を積んでいます。また、産科では母体・児の救急医療、蘇生のための実践としてJMELS、NCPRにいち早く取り組んでおります。

新しい動きはソフト面だけでなくハード面にも起こっています。職場環境に関しては旧病院の建物の老朽化や、高知県の災害医療の拠点としてより自然災害に強い立地へと移るべく2019年5月に新病院に移転しました。建物が新しくなりフレッシュな環境で気持ち良く仕事をしております。新病院移転に伴い各診療科の症例数が増加しており、産婦人科でも分娩数、婦人科患者、救急症例が軒並み増加しています。研修施設としては多数の症例を経験できる環境となってきました。

周産期に関しては移転後に分娩数が増加し、平成29(2017)年時点で約450例(内、帝王切開術約130例)の分娩数であったのが、現在は年間約600〜700例ペースと多数の分娩を経験できます。早産症例については現時点では妊娠34週以降の早産が対応可能となっております。周産期・小児科診療の需要の増大に伴い、2020年10月からは高知大学からの小児科医師(診療部長医師)増員で小児科医が3名となり充実を図っています。また、研修施設としては日本周産期新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)の補完認定施設となっております。

婦人科症例については 2017年時点の年間データで手術総数が約300例で、悪性腫瘍手術は約30件(子宮頚がん、子宮体がん、卵巣がん含む)です。腹腔鏡手術は約130例(その内、単孔式腹腔鏡約80例)です。現在、日本産科婦人科内視鏡学会の技術認定医を2名が取得しており、現在新たに2名が技術認定医取得を目指して頑張っております。良性疾患の開腹手術は約50件、骨盤臓器脱手術は約15件、子宮頚部円錐切除術・レーザー蒸散術は45件、その他の手術(子宮鏡手術など)は約15件です。これら婦人科手術の件数も現在増加しています。

また当院産婦人科では医師の技術育成のみだけでなく看護師、助産師、コメディカルスタッフも含めた臨床での実践を目指した技能訓練としてJMELS、NCPRに取り組んでいます。産科救急医療での母体蘇生技能向上のためシミュレーション、実践形式での蘇生講習JMELSには中四国地方ではいち早く取りかかり多数の講習会開催、インストラクター養成の実績があります。JMELSに取り組んだことによりスタッフ間での産科救急症例に対し深く話し合うようになり、産科救急症例への対応が良くなっていると実感しています。母体だけではなく出生時の新生時蘇生のための同様のシミュレーション、実践形式での蘇生講習NCPRにも取り組んでおります。

この様に産婦人科医療を担う若手の医師の教育機関としても環境が整っていると感じております。私自身も自由な気風のもと、産科・婦人科症例共に多数を任せていただき、日々主体的に取り組むことに充実を感じています。

人員の面では2020/4月から埼玉医科大学関連病院より1名の医師が転居により新規赴任され、現在医師5人体制(男性医師3名、女性医師2名。日本産科婦人科学会専門医・指導医4名取得)で仕事をしております。他県他大学医局出身者など異なる環境で研修をされた医師でも入職しやすい環境ではないかなと感じております。

また、職場以外については高知は自然が豊か、食べ物美味しい(鰹のタタキ、特にタレでなく塩で頂く塩タタキは絶品です!)、大らかで豪壮な気質の人が多いなど、住環境も良く、県全体で子育て支援にもしっかり取り組んでおり、院内保育所も揃い子育て世代も安心して職務に取り組める環境です。

話しが長くなりましたが、私が高知に来て印象に残った言葉として“たっすいがはいかん!(土佐弁で張り合いがない、手応えがないのはダメだとのことだそうです。)” という物があります。皆さんも高知の地で”たっすくない”充実した研修ライフを発信しませんか?

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